初心者でも塗装 工事
荒川区のある駅前の再開発をやることになったのだが、再開発をするについては、当然、住宅公団や東京都の住宅供給公社、また、土建会社の開発部の人や不動産会社の人たちが土地を買って、マンションを造ろうなどということになった。
このようなマンションに、比較的低所得の若い夫婦が入居してくれば、それは東京23区からの人口流出をくい止める非常に有効な手立てとなるし、住宅公団や土建会社としても、質のよい仕事が得られるようになる。
ところが、この再開発に際して、区役所の人たちが地元の人にいくら説明しても、地元の人になかなか理解してもらえなかった。
というより、会話が成り立たなかったのである。
では、誰が説明したか。
実は、再開発の話がうまく進めば大きな仕事となる銀行のお得意さま係が、地域の人たちのところへ行って率直に話をしたのである。
そのときの言葉は、市民にわかる言葉であった。
すると市民の側は、「お役所で言っていたのは、こういうことだったのか。
それなら、割合いいことじゃないか」と理解できるようになった。
そして、「話はわかったけれども、またお役所の人が来ても、自分たちは彼らの話にアレルギー状態になっているから、あなたに全部まとめてもらいたいーと頼むようになり、結局、この銀行マンが地域の人たちと区役所の仲介役になったということがあった。
先にも述べたように、今の時代は専門家と市民の関係でいうと、専門家が圧倒的に知識を持ち、市民がその言葉で「なるほど」と思う状況ではなくなっている。
しかも街づくりの内容が一つの目標ではなく、地域社会の持っている一つずつの目標が非常に多様になっている。
そのなかで、有効な街づくりであるということを、誰が地域社会の住民に話すのがよいか。
それが、あまりはっきりしていないというのが現状なのである。
もちろん、役所の人の中にも、街づくりに非常に熱心で、地域の人たちとのつながりも密接で住民からも信頼を得ているような人がいて、再開発や区画整理がスムーズに行くことがある。
しかし、残念ながらこれは例外的な話である。
そこで、役所からも市民からも信頼されるような人の存在こそが重要な時代になっていると思う。
そうなれば、街づくりが、何かわからないところで動いていくというのではなく、中心になる人と市民、同時に役所の人の会話が秘密裡にではなくて、割に自由に行なわれるようになる。
これは街づくりを進める上で非常に大切なポイントなのである。
1980年の初めに都市計画法の改正があった。
これによれば、地域社会の住民たちが「法律ではこのような規則になっているが、自分の街はこうしたいと非常に積極的に全然違う街づくりをしたいと考えたときには、それを受けて、皆が考えた方向に街づくりを進めることを法律できちんと約束するというように変わったのである。
これを専門用語では「地区計画」というのだが、わかりやすくいえば、向こう3軒両隣型の街づくり運動といえる。
昔の村社会において、寄り合いでものごとを決めていたことに似ているかもしれない。
新しい街をつくり、それを維持管理するときに、向こう3軒両隣的な地域で、コミュニティセンターや公園の維持管理、また夜の見回りなどを街のコミュニティとして行なうから、それにふさわしいように、ここに道路が一本欲しいとか、建物は何階以下にしたいとか、こういう駐車場が欲しいとか。
このようなことを全部申し合わせて、95パーセントぐらいの人が賛成ならば、多少の反対があったとしても、それを地域の新しい街の姿として法律で認めようという制度が強化されたのである。
ところで、このような街づくりの案を作る場合に、役所の人ではまずわからない。
細かい横町のことや、あの酒屋さんにはご隠居さんがいることとか、落語的、長屋的な、細かい街のイメージまでは知らないからである。
一方、一般の市民が細かい街のイメージがわかるといっても、それはあくまで断片的な話であって、全体的なイメージを組み立てることは難しい。
したがって、一般の市民と市役所の人々とを結びつけ、汐あなた方の議論をもとにすれば、このような街になる。
という一番初めの姿を提案できる人。
そういう人たちが数多くいなければ、街づくりが具体化しないのである。
では、具体的にどのような人かといえば、それがなかなかいないのである。
例えば、銀行が雇った都市計画の専門家の場合。
このような人たちは、「あなた方の言っている町のイメージはこういうことになりますよ」と市民にわかる言葉で語ることができると思う。
その専門家の言うとおりにしていたら、特定の銀行に預金せざるを得なくなってしかし、しまうかもしれない。
ゼネコンも然りである。
このように考えていくと、ゼネコンの専門家も使いにくいし、銀行の専門家も使いにくい、さらに不動産の専門家も使いにくいということになってしまう。
となると、公認会計士や税理士、また弁護士や医師などと同じように、自由業として一人の人間が、場合によっては何人かの専門家を使いながら、街づくりに関わっていって、一つの仕事として皆の話をまとめていくという人たちの組織が必要になってくるのではないかと思う。
このような人たちは、どこからお金をもらえるのか。
医師であれば、生死の問題であるから患者がお金を払う。
弁護士業務でも、被告人がお金を払う。
ところが都市計画は、なかなかそうはいかない。
というのも、早い話が都市計画では役所との話がうまく折り合わなくても、仕事には差し支えないことが多いからだ。
折り合いがうまくいかず、隣の人との仲が悪くなったとしても、それで逃げ出すような人はいないだろう。
つまり、自分のために不可欠なことだからと、都市計画を進めてくれる人にお金を払うわけではない。
したがって、このような人たちをサポートするのには公的な資金が必要になる。
公的な資金を市役所や県庁が出資し、市役所や県庁の役人の言葉ではなく、市民にわかる言葉で話をする。
これからの都市計画では、このような自由業的な人が必要になってくると思うのである。
以上のことを別の言葉で言えば、「都市計画をより市民社会に近づけることが、これからの日本で非常に重要になってくる」ということである。
そのときに私は、女性の発言が非常に重要になってくると思う。
というのも、私も含め、男性は家の周りのことなどほとんど知らないからである。
自宅で商売をしている人ならいざ知らず、サラリーマンの人は、ゴミ集積場がどこにあるのかすら知らない人も多いのではなかろうか。
仮にゴミ集積場の場所を知っていても、そこにいったいどれだけの袋が積み上げられ、清掃局の車は、何時ごろに来て、そこではどんな会話が交わされるかなどは知らない人がほとんどなのである。
したがって、街づくり全体を考えたときに、細部のことではあるが非常に大切なさまざまなポイント。
例えば、ある人の屋敷の前にゴミ集積場を作るのではなくて、ゴミ集積場として非常に性能の高く、水道の蛇口もあって水を勢いよく流せば臭いも取れるような大きなものを作ろう。
その蛇口は誰々が管理する。
その場所は何坪ぐらいのものにし、その横に子どもが保育所に行く道路があって…などという図面を議論することは、男性にはできないのである。
それは、女性でないとわからない。
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